株式会社PFUが出しているパソコン用キーボード。
HHKBのレビューをしていこうと思います。
というキャンペーンに応募しています。
by Happy Hacking Keyboard - 一度使ったら戻れない極上のキータッチ | PFU
HHKBとは
その前に、HHKBとはなんぞやという話をします。
正式名称はHappy Hacking Keyboard、略してHHKBです。
販売は株式会社PFUです。
イメージスキャナー等でトップシェアを取るなど、信頼と実績があります。
以前は富士通の子会社でしたが、2022年9月1日にリコーの子会社となったそうです。
HHKBが最初に出たのは1996年だそうです。
東京大学、和田英一名誉教授によれば
アメリカ西部のカウボーイたちは、馬が死ぬと馬はそこに残していくが、どんなに砂漠を歩こうとも、鞍は自分で担いで往く。馬は消耗品であり、鞍は自分の体に馴染んだインタフェースだからだ。いまやパソコンは消耗品であり、キーボードは大切な、生涯使えるインタフェースであることを忘れてはいけない。
早い話が「末長く使える強いキーボードを作ろう」ってコンセプトです。
その理念に基づいて、とにかく耐久性が普通のキーボードに比べて無茶苦茶高いです。
とはいっても、落としても壊れないとかそういう方面ではなく、通常使用での耐久性。
キースイッチに耐久性重視のモノが選ばれています。
キースイッチについて
キースイッチはいろんな仕組みのものがありますけれど、現代では大きく分けて4種類ほどの仕組みが使われています。
流石に詳しい仕組みの解説は素人である私には無理なので、簡単に説明していきます。
メンブレン
まず多分パソコンを使った人なら絶対に触ったことがあるであろう、メンブレン 方式。
今普及しているパソコンについてくるものや、安いキーボードはほぼ全てメンブレン といっても差し支えないでしょう。
普及の理由はなんと言ってもコストが低いこと。
キーを押すと2枚の入ってるシートがくっつくことで入力するというシンプルなものです。安い分総合的な耐久力は低めになります。
キー単体はそうでもないかもしれませんが、肝心のスイッチ部分がそれぞれ1枚のシートなので、どこか一箇所でも壊れてしまうと、全部交換する必要があります。
パンタグラフ
これの薄型がパンタグラフ方式。メンブレンよりは高い(らしい)ですけれどそれでも安価、かつ薄くできるのでノートパソコンは大体これを用いています。
仕組み自体はメンブレンと一緒です。ただしメンブレンとは別の欠点が存在し、キーの取り外し自体がしづらく、それに伴い掃除もやりにくいことがあげられます。おまけにこれが搭載されるものは大抵ノートパソコンなので壊れてもキーボード部分だけ取り替えとかそうそうできません。慎重に扱いたいところです。
メカニカル
人気……というかゲーミングと謳われる製品では超高確率で用いられてるスイッチ方式です。
メカニカルとは言いますけれど実は決まった仕組みが存在しません。メカニカル方式のキースイッチはとても種類があります。
そのため、用いるキースイッチによって打鍵感も、音も、耐久性も変わります。メンブレン とパンタグラフとの最大の違いは「キーひとつひとつが独立している」ことです。そのため故障しても交換、修理が比較的簡単です。
独立したキーが数十個以上あるので、その分お値段は高めになります。
大まかに分けるとタクタイル、リニア、クリッキーの3種類です。他にも様々。
静電容量無接点
そして、最後に紹介するのが、HHKBに使われている、静電容量無接点方式です。
先の3つとは全く異なる仕組みを持っています。
最大の特徴は、物理的なスイッチを使わずにオン・オフを切り替えること。キーを押すと静電容量というものが変化していき、一定の深さまで押されると入力されるというものです。大抵が底よりも浅い部分にオンの位置を設定してあるので、一部のメカニカル同様、底打ちの必要がありません。
そのため物理的に消耗する箇所が無く、耐久性が他の方式に比べて無茶苦茶高くなります。
強いて挙げるなら消耗する部分は、バネとかぐらいです。ただし、そんな特殊な仕組みを使う分、価格がメカニカルよりも更に高くなります。
静電容量無接点方式は、他とは違う、言ってしまえばメジャーではない仕組みを使うためか、そもそもの製品数がかなり少ないです。私が知っているものでは、東プレのRealforce、NiZのいくつかのキーボード、そして私が今回購入したHHKBです。
東プレのRealforceは私も使ったことがあるので後で比較しますが、HHKBと同じく日本製です。というか東プレ自体がHHKBを出しているPFUにOEM供給している会社だそうです。
NiZも静電容量無接点方式のキーボードを数種類ほど出しています。
それまで使っていたキーボード
レビューの話の前に比較を。
メカニカルキーボードを手に入れるまでは全部メンブレンやパンタグラフで、正直言って私にとっては長時間タイピングしたら指が疲れていくものでした。
その後は1万円のメカニカルキーボード、FilcoのMajestouch Minila airを購入。
ここから英語配列のものを使い始めてます。それまでは日本語配列でした。
青軸で、カチカチと音がするものでこれはこれで好きでしたが、集中したいときにはちょっとうるさくて、次にRealforceを購入。
なおMajestouchからHHKBに至るまで全てMac用に使おうと購入したものです。なのでこのRealforceもMac用を選びました。
打鍵感は同じ静電容量無接点方式を使っているので、かなり似ています。
総じて快適です。ただし、押下圧が違います。HHKBの前に買ったこのRealforceは、押下圧が30gしかないタイプで、かなり軽いものでした。これはこれで入力しやすいとは思うのですが、思わぬ欠点が存在しました。
ショートカットキーをよく使う作業中、間違ってキーを押してしまうことが多発したのです。
Qキーなど、薬指を使う箇所で顕著でした。軽すぎて、指を置いただけで沈んでしまってたのです。よりバリエーションが選べる通販で買うべきでしたね……。
勿論押下圧は30g以外の物も選べます。
その後しばらく使っていましたが……手放してHHKBに乗り換えました。
レビュー
ここからは、HHKBの使用感レビューと、これまで私が触ってきたキーボードとの比較をしていこうと思います。
ただし、今はもう持ってないキーボードだらけで、ノートパソコン付属とかもあったり、情報は殆ど記憶頼りだったりと結構不完全なものなので、あまりあてにはならないと思います。
私が買ったのはHappy Hacking Keyboard Professional HYBRID Type-Sという製品です。
Bluetooth接続と有線接続に対応したフラグシップモデルです。英語配列の墨を選びました。
HHKB。
ESCキーはPFUの抽選でゲットしたものをつけてます。
見た目
個人的に、シンプルで見た目がかっこいいと思っています。まずキー配列もそうですけれど、キーボードの形も自分好みです。電池ボックスの部分も私は無骨な感じがして好きです。何より、色が良い。
この購入した黒色、正確には墨なんですが、これがまあ美しい。質感自体はマットコーティングで、反射が少なく、安っぽさなし、高級感があります。
完全な黒では無く、ちょっとだけグレーによった黒。おかげでキートップの文字も割と見えます。暗いところだとバックライトもないので当然見づらいですが、覚えてしまえば問題ありません。
キートップの文字には昇華印刷というものが使われてて、やはりここも文字がなかなか擦れないようになってる耐久仕様となっています。
価格
HHKB本体が約35000円。
ホコリ防止のキーボードルーフも一緒に買ってます。これは約4000円。
さらに滑り止めもつけてます。こちらは約3000円しました。
合計40000円以上します。わあ、高い。
でも高い分、これまで使ってきたキーボードと比較しても最高の物だと思います。
キー配置
先にも言いましたが英語配列を選んでます。
ぶっちゃけこれもHHKBの大きな特徴の一つです。とにかく、凝縮されてます。他のメンブレンや、Realforceとは大きく違う点です。
コンパクトなキーボードはMajestouchもそうでしたが、それよりも更にコンパクトなキー配列となっています。フルキーボードの60%ぐらいだそうです。
とにかく、慣れればものすごく使いやすいであろう、効率重視な配列になっています。
基本的な配列はQWERTYで、記号もそれに準じていますが、端っこにあるキーの配置がかなり変わっています。
まず、ファンクションキーはFnキーを押しながらで入力します。これは他のコンパクトキーボードでもよくある仕様ですね。ここまでは誰でもすぐに慣れるでしょう。
ここからが特殊。Windows使いにとってはちょっと困惑要素である、AltキーとWindowsキーが逆の配置になってます。逆にMac使いにとってはoptionキーとcommandキーが本体と同じ配列なので特に戸惑うことはないでしょう。
そして、Controlキーが、CapsLockの位置にあります。ここもまたWindows使いにとっては厄介なところです。コピーアンドペースト、アンドゥなどよく使うショートカットキーを違う指遣いでやらないといけなくなります。
これもMacでは特に支障になりません。英語配列のMacではControlキーは言語切り替えの時ぐらいしか使わないんです。逆にコマンドキーがWindowsでいうControlキーなので、違和感がありません。
ではCapsLockはどこにいったのかというと、FnキーとTabキー同時押しで発動するようになっています。そんな機会ほぼ無いけれど意図的に使おうとしない限り押されることはなく、誤爆の心配が殆どありません。嬉しいことですね。
というか触ってて思ったのは、ぶっちゃけMac用に作られたとしか思えないほどのキー配列ですね。私はまさにMac、iOS用たまにWindows用として買ったので、違和感なく使えます。
そして日本語配列にはありませんが、英語配列ではもうひとつ特徴があります。
それは矢印キーです。英語配列には「独立した矢印キー」が存在しません。
日本語配列には矢印キーがあります。
ないんです、矢印キーが。Fnキーを押しながら特定のキーを押すことで矢印キーとして入力されます。なので矢印キーを頻繁に使う人にはかなり違和感があるかもしれないですね。RPGツクールなどのゲーム用には向かないです。これも慣れと言ってしまったらそれまでですが。
ただ、この配列に慣れたら、手をさほど動かさずに全部のキーに触ることができるので、人によってはかなり効率アップを図れますね。
ちなみに私もまだこの矢印キーの仕様だけはあまり慣れてません。ワンテンポ遅れちゃいます。
あなたもこの(若干)特殊な配列に飛び込んでみませんか?
余談ですが、キートップ自体も場所によって角度がついてたりします。
個人的にはこれまでのとさほど違いを感じないので、割愛させていただきます。
接続方法
さて、次は接続方法と電源についてです。
先に述べたように有線接続とBluetooth接続があります。有線接続はキーボード奥の電池ボックスの横にある端子にUSB-Cを繋ぎます。PCに繋げるのはAでもCでも構いません。繋いだ後ショートカットキーを押せば即座に切り替わります。
普通ならこれに関して感想を言うことはないかもしれませんが私は言います。
ここが良い。ここが良いんです。
Realforceとの大きな違いでありまたメリットでもある箇所です。
流石に耐久性を重視するだけあります。
Realforceも有線接続なんですが、ケーブルは本体から直に伸びているんです。これが普通なんですけれど、耐久性の面ではここが不安要素になります。
いくらキーの耐久があっても、ケーブルが断線したら、(素人では)交換できずそのままおしまいということになりかねません。とはいっても、有線接続オンリーのRealforceではそもそも頻繁に抜き差ししたりとかはしないでしょうけれど。
HHKBの場合、ケーブルは何を使おうが自由です。断線しても超簡単に交換できます。USB-C端子が破損しない限り断線した時のことを考える必要はないんです。
そしてたとえ壊れたとしてもBluetooth接続が使える。使おうと思えば本当にずっと使えそうな作りをしています。
Bluetooth接続自体も便利です。4台まで登録することが出来て、それをショートカットキーで即座に切り替え出来ます。
この点は他の方々も前作からの進化ポイントとしてピックアップしていましたね。頻繁に接続機器を切り替える人には相当良い機能です。私もMac、iOS、Windowsと頻繁に切り替えるので、この機能は本当に助かります。
電源は、USB電源供給と乾電池があります。USB接続中は乾電池を使いませんし、その状態でBluetoothも使えます。有線接続中は自動的に電源オフになりません。
乾電池は単三電池を二本使います。キーボードの奥にある出っ張りが電池ボックスです。もちろんエネループなどの充電池も使えます。
さて、散々耐久性の事を言ってきましたが、ここでもその考えが入ってます。最近の無線接続のキーボードといえば、主流はUSB充電の内蔵バッテリー式です。HHKBはそんな主流に逆らってあえて乾電池式を採用しています。理由は兎に角長く使えるようにするためだと思います。
内蔵バッテリーは劣化したら基本交換不可、少なくとも個人ではそう簡単には出来ません。スマホだけでなく、いろんな機器がそうです。でも乾電池式なら、電池切れになっても入れ替えれば済みます。
バッテリー劣化の心配はしなくていいので、キースイッチの寿命の事を考えたら、10年は楽勝で使えるでしょう。ちなみに私はこのキーボード用にエネループデビューしました。
見た目の話も。キー配列の話はさっきしたので、今度はキーボードそのものの見た目の話です。
打鍵感
メカニカルで言えばタクタイルの感触に似ています。
こちらは押下圧が45gで、私にも合っていました。指を置いただけで押してしまうことはほぼありません。
いずれにせよ押下圧が軽めだけれど、指の力を抜くとすぐに戻る力がくるので、これがタイピング疲れを軽減してくれます。薄型キーボードに慣れてる人は指をあまり大きく動かさないから恩恵は得られにくいかもしれないですね。
音は静音性あり、高速打鍵向けのType-Sを選んだので割と静かです。
もちろん以前使っていた青軸のメカニカルより断然静かです。
Realforceよりはちょっと音が大きいのかもしれません。
擬音で表すならMinila airがカチカチ、Realforceがフコフコ、HHKBがスコスコといった感じです。この音が何気によくて、ずっと文章を打っていても耳障りになりにくいです。
Realforce、HHKB共にそう感じたので、静電容量無接点方式ならではの音ってことなのかもしれないですね。いいわー、正直この上品な音、好きです。
2年以上使った今の感想
さて、ここまでのレビューは買ってしばらくしてから書いたもので、割と初期の段階で感じていたことです。
では今はどうなっているかというと……
これ無しで文章入力したく無いという状態です。
だってそりゃそうですよ、まず打鍵感は心地良いし指も疲れにくい、音も静か、耐久性重視だから安心して使える、乾電池式だからバッテリーの劣化の心配もない、無線も有線も使えるし切り替えも簡単、コンパクトに収まってて腕を頻繁に動かす必要がない、ショートカットキーも覚えてしまえば楽、とここまで良いところづくしなのでございます。
ちなみに冒頭で出て来たキャンペーンのキーワードでもある「HHKBのここが好き!」には、上述の文を答えとして出します。
殆ど全部と言ってるような物ですが、それくらい良いのです。
それをずっと使い続けてるとどうなるかと言えば……?
他のキーボードを今後使いこなせる自信がなくなります。
後で良い所、良くない所をまとめるつもりですが、これはどちらにも当てはまりそうです。
私はずっと使い続けてるので見事にそうなっています。
他のキーボード使って思うことは、やっぱりCapsLockがとんでもなく邪魔。
まあもしそっちでもがっつり文章入力したいってなれば、設定少し変えてHHKBを繋げれば済む話なので、さして問題にはなりません。
多分次デスクトップPCを買ったとしてもこれを繋げて使い続けるでしょう。
(付属のキーボードをガン無視するつもりですね)
さて、そろそろ総評に行きます。
総評
まとめるとこういった感じになります。
良い所
- とても良い打鍵感
- 超長く使える耐久性。
- 有線でも無線でも使える。
- 乾電池式で劣化の心配要らず。
- 慣れると最高の使い心地
- 軽くて持ち運びもしやすい。
良くない所
- 乾電池式なので予備がなければ無線では使用不可になる。
- これに慣れすぎると他のキーボードが使いにくく感じる。
- 方向キーがない。(JIS配列にはある)
- 価格が高い。
とこういった感じでございます。
とにかくもう、文章入力がしやすいのです。コンパクトで割と軽いキーボードなので持ち運びもしやすい。滑り止めも別途つけてるから安定性も抜群。悪い部分はあまりありません。
しかし独特な部分があるのも確かで、そこに慣れると他のキーボードへの慣れはかなり減ってしまうでしょう。
流石に万人に必ずおすすめ! という事は言えません。
比較的人を選ぶキーボードなのは確かです。
しかし、パソコンは割と頻繁に買い替えるけどキーボードはずっと使う物。
耐久性も打ち心地も使いやすさもしっかり考えられたこちらのキーボード、個人的には本当におすすめします。
私は勿論これからもHHKBを使い続けていきます。
たとえ今使っているのが壊れたとしても生産が続いてる限り買い直すでしょう。
皆さんもよければぜひ、至高のキーボードであるHHKBを使ってみてくださいませ。
ではでは。